この保育園は主要な駅に近く、高層マンションや商業施設などが続々と建てられている地域に計画された。
街中に建つ建物の宿命でもあるが、敷地は十分な広さがあるとは言えない。しかし、その環境に甘んじて、保育室を並べ、残余を園庭として最大限確保という従来の在り方のままでいいのか。
保育園は子供の家であり、その本質は"学び"である。そして、学びは"遊び"の中にあり、その展開の可能性は部屋の中も外も等価だ。
敷地が狭いのならば、園庭として十分に広さの取れる屋上まで立体化して繋いではどうだろう、どうせ繋ぐなら山として連続させると楽しいのではないか。運営者側とのやり取りの中で方針が定まっていった。
「町の中に山を作ろう!」
これは、理想的な環境ではなくても、何とか子供たちの可能性を最大限引き出そうとする試みである。
果たして、開園後は園長先生の指導の下、子供たちは芝に水を捲き、山遊びに勤しむ日々を送っている。
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