世田谷区の町中に建つ認可保育園。交差点に面し、北側は線路に近い。
敷地の制約上1階には園庭が十分に取れないため、1階から屋上に至る外部を緑の斜面で連続させ、そこに滑り台も一体化して外の遊び場を形成した。
回遊性のある立体園庭である。
植栽を配した斜面は子どもの発見の場であると同時に、町に緑の景を提供している。
内部は、木と土による柔らかい雰囲気の仕上とした。ハイサイドからの包まれるような光と共に温かみの感じられる保育空間を創出している。
昨今、園庭確保や近隣関係など、果たして子どもの成長にとってどうなのだろう、と疑問を抱かざるを得ない問題が浮上するケースが増えつつある。
保育がどのような場所で行われようとも、何かに守られている安心感と、その安心感を基盤とした学びの場が、子どもたちの健やかな成長に必要であることには変わりはない。
本計画では内部空間を壁で包み込みながら、外部の遊び場の一部、斜面の風景を町に開放した。
緑の中に遊ぶ子どもの姿が町の風景となることで保育園と地域の距離が近づき、子どもたちが温かく見守ってもらえる保育環境が育まれていくことを願っている。
第14回こども環境学会デザイン奨励賞受賞
第12回キッズデザイン賞受賞
建築ジャーナル 2019年12月号掲載
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